= 今週のTOPIC =

第60回  =自由空間と音響空間!=(December 01, 2004)

トピックも今回で60回目を迎えることが出来ました。ありがとうございます。
12月になり、あちこちでクリスマスの飾りが見られるようになりました。近所にも個性的な電飾の飾り付けをされている家があり、年末になると愉しませていただいてます。
 
今回は、自由空間と音響空間のお話です。
ここでいう自由空間とは、音の振動が干渉されずに無限に伝播する空間のことを指します。音の反射がないので、耳の聞こえるのは、音源からでるそのものも音になります。吸音率100%の空間が自由空間ということです。すなわち無音室状態ですね。
 
音響空間とは、簡単にいうと「残響音」のある空間のことです。音源から直接聞こえる音の他に、壁、床、天井などに反射した音も聞こえてくる空間です。床面積や天井の高さ、音の反射率、透過率などによって音の響が変わってきます。音の響のを知る値として、残響時間という言葉をよく聞きます。音楽堂などでは、それぞれ特徴のある残響時間を設定した設計になっています。手をパンと叩いてみると音の響き具合を確認できますね。
 
音響空間を設計する時には、残響時間計算もするのですが、どうしても誤差が出てしまうのが実情のようです。音響施設の設計者が、完成時に一番にするのが、手を叩くこととか・・・。一般的に、コンサートホールなどは、容積が大きくなるほど、残響時間が長い設計にしてあるようです。 
 
残響時間の長い空間はゆったりと聴かせる音楽、、短い空間はテンポよく聴かせる音楽に適しています。しかし、演奏家はいつも同じ音響条件で演奏できるわけではありません。それぞれの環境に合わせて演奏方法が必要になってくるわけです。同じホールでも、常に同じ音響条件であるわけではありません。
 
アーデン.ステューディオは、これまで数回のサロンコンサートを催してきました。先日のコンサートに来られた方が、「夏のコンサートの時より、バイオリンの音が柔らかく感じた。」という感想を述べておられました。もちろん、演奏曲目も違うということもあるのですが、コンサートに来られた方の服装が厚手のものに変わっていたことが大きな要因でもあるようです。おそらく演奏家の方は、夏場との音の響の変化を予想した演奏プログラム立てておられたのでしょう。
 
りっぱな音響空間が素晴らしい音楽を聴かせてくれるのではなく、その空間の音響の特徴を活かすための音楽家の創意工夫が聴く人の心に響く音楽を生み出しているのです。 ということは演奏家にとって空間も楽器であると言えますね。
 

December 01, 2004 ○Writer:mitsugu


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